世界の知性が語る「特別な日本」を読んで

書評

ネットの書籍紹介を見て、『世界の知性が語る「特別な日本」(会田弘継著)』を手に取りました。

シンガポール建国の父リー・クアンユー(李光耀)や中華民国を民主化に導いた李登輝などとのインタビュー記録かと思い手に取ったのですが、読み進むうちに、筆者の意図は、そこではなく、多くの課題を提起している書籍でした。 筆者の意図は、あとがきで触れられているので割愛しますが、本を読了して、感銘した点を一点。

明治維新(外圧による敗戦)・第二次世界大戦の敗戦から立ち上がり、(強く輝いていた)日本を築いた先人を紹介しながら、バブル後の失われた30年(敗戦)で日本が立ち上がれていない原因として、戦死者を弔うことの重要性について説いていた点です。
戦死者を弔う施設というとすぐに靖国神社が思い浮かびますが、筆者は、「家」で祀る、「共同体」(昔でいうところの「ムラ・集落」)で祀る、という明治維新以前の祖先信仰に近い形態の重要性を提起していました。

都市部の住民には神社とのつながりというと、例大祭のお祭りや、初詣となりますが、
神社の創建は、「ムラ・集落」を開発した氏が、氏神(祖先)を祀って創祀したものがほとんどです。
明治時代後期に、神社整理が実施され、集落で祀っていた社が次々と合祀されて、土地を開拓した地元の有力氏族と神社の関係も見えにくくなりましたが、それでも第二次世界大戦で敗戦した後に、合祀された社が復祀される例もあります。

先人に敬意を表して今一度振り返り、時には誇り、時には反省し、次の時代の「在り方」を考えさせられる一冊でした。

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