水壁-アテルイを継ぐ男

書評
会津磐梯山

高橋克彦氏著の「水壁-アテルイ」を継ぐ男を読了しました。高橋克彦氏は奥州藤原氏の興亡を描いた「炎立つ」がNHK大河ドラマ化されるなど著名な小説家ですが、今回の「水壁-アテルイ」は、2000年の著作「火怨-北の燿星アテルイ」の続編となる作品です。「火怨-北の燿星アテルイ」では、大和朝廷の東北進出に抵抗した「アテルイ」を描いていましたが、「水壁-アテルイ」は、大和朝廷に服従して「俘囚」と呼ばれることになった旧蝦夷の民の処遇改善を求めるための戦いが描かれていました。

気になったのは、その時代背景です。10年前に東日本大震災があったことから、貞観大地震(東北地方を中心とした大津波)と比較される方も多いようですが、「水壁-アテルイ」が描かれた貞観では、年を経ずに日本列島のあちこちで地震・噴火が起こっていたようです。

貞観5年(863)越中・越後地震
貞観6年(864)富士山大噴火
貞観7年(865)富士山噴火継続
貞観8年(866)富士山噴火継続
貞観9年(867)阿蘇山・別府鶴見岳噴火
貞観10年(868)播磨・山城大地震
貞観11年(869)陸奥貞観大地震(大津波)・阿蘇大地震
貞観12年(870)
貞観13年(871)出羽鳥海山大噴火
貞観14年(872)
貞観15年(873)
貞観16年(874)鹿児島開聞岳噴火
貞観17年(875)
貞観18年(876)
元慶元年(877)
元慶2年(878)相模・武蔵地震

平安時代(前期)は、火山活動も活発だったようで、延暦19年(800)には富士山延暦大噴火が、大同元年(806)には(山体崩壊したともいわれる)会津磐梯山大噴火も起きていました。

自然災害が争いごとの原因となるのは世の常なのでしょうが、日本は自然災害の多発地域だと改めて思い知らされました。

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